ローカル線、乗ってますか?
鉄道大国、日本。北は北海道から南は鹿児島まで、鉄の道が途絶えることはありません。
通勤電車や新幹線を日々活用している人は多いことでしょう。ですが、日々鉄道にお世話になっている人でも、地方を走るローカル線に日々乗っている人はかなり少ないのではないかと思います。
北海道の中部を通る「JR根室本線」もそのうちのひとつ。
JR根室本線は、滝川市から日本最東端の根室市に至る路線で、かつては北海道の大動脈・函館本線と東の中心・釧路市を結ぶ、道東へのメインルートでした。
しかし、札幌からはかなりの距離と時間を要することから、空港のある千歳市から新得町を結ぶショートカットルート「石勝線」が開通。特急列車は石勝線を経由することになり、新得~釧路はメインルートとして引き続き使命を担っている一方で、滝川~新得間は特急街道からも外された、閑散ローカル線となっています。

今日は、そのローカル線区間、滝川~新得136㎞の沿線風景を見てみましょう。
トコトコ揺られながら
列車は1~2両のディーゼルカー。電車とは違い、エンジンが搭載されていて、軽油で動きます。動画に出てくるのは「キハ40」という国鉄時代から活躍する、古い車両。懐かしさを覚える人がいるかもしれません。


滝川駅を出た列車は東へ。赤平市、芦別市と中小の町が続きます。山あいをのんびりと走る列車は、通勤ラッシュで急ぐ通勤電車とは全く別物ですね。
山を抜けた先が、ラベンダー畑でも知られる富良野市。富良野駅は旭川へ伸びる富良野線と合流する、一大拠点。観光地ではあるのですが、特急列車は一本も来ません。どこかのんびり、というか寂しさを感じるのは僕だけでしょうか?
ローカル線の最大の敵、自然災害
富良野を出た根室本線は、ここで進路を変え南へ。動画では東鹿越という途中駅で列車からバスに乗り換えています。残念ながら鉄路が途切れているのです。
2016年に北海道を襲った台風で、山の中を走る東鹿越~新得間は壊滅的な被害を受けてしまったのです。列車の代わりとなる代行バスを走らせ、かろうじてネットワークが繋がった状態です。
これが需要のある幹線なら迅速に復旧されますよね。ですが、赤字経営のローカル線では治したとしても修繕費が回収できない。結局、JR北海道は復旧工事を行わず、今年3月末をもって富良野~新得の営業を廃止(廃線)することに。残念ですが、これが現実です。

ローカル線の衰退にはいろいろな要因がありますが、それに追い打ちをかけてしまう自然災害。東日本大震災を受けてBRT化した路線をはじめ、JR日高線(北海道)、JR岩泉線(岩手県)、高千穂鉄道(宮崎県)など、自然災害で失われた鉄路は数多く、ローカル線の厳しさを物語っています。
今のうちに、乗っておこう

ローカル線はいつなくなってもおかしくない路線ばかり。
廃線後になって「乗っとけばよかったのになあ」と後悔しないためにも、今のうちにローカル線に乗って、都市鉄道とは違う非日常を楽しんでもらいたいです。あなたの一歩が、ローカル線存続のキッカケになるかも、ですよ。